2011年1月25日火曜日

久々の韓国旅行

金 紅実

久々の韓国旅行にブサンを訪ねてみることにしました。この町は今回が初めてです。

ブサンの正式な名称は釜山広域市、人口は約357万人(2009年統計)、朝鮮半島の南東地域に位置する韓国第二の都市。古くから朝鮮半島と日本を結ぶ交通の要塞として栄え、現在も韓国の文化や経済を支える重要な港湾都市。

ブサンはその東側と南側が海に面している上、気候が温暖であるため、有名な海水浴場を多数もっています。今回訪れたのはその中で最も有名な海雲台海水浴場でした。ここは毎年10月に開かれる「釜山国際映画祭」の開催地の一つとしても有名です。

一年の一番寒い季節でもあって、きっとガランとして、さびしい景色が待ち受けているに違いないと期待感を抱かずに行ってみましたところ、夏場のにぎわいがすっかり姿を消した代わりに、広大な海から押し寄せる淡い水色の高波が白い砂浜に砕かれる景色は、雄大さそのものでした。砂浜に足を踏み入れると、まだ小学二年生の息子が「ウミガメの産卵場所としてぴったりだぁ。」と新しい発見に大喜びでした。砂質は柔らかく、海岸線のずっと向こうまで砂浜が続いていました。三々五々と地元の家族連れも観光客にまぎれてゆっくり散歩する姿がありました。



ブサン海雲台海水浴場

その一角にある「釜山アクアリウム」という水族館では、入場料がリーズナブルな上に、日本の水族館ではめったに見られない朝鮮半島の周辺水域に生息する魚が見られるほか、サメのえさやり(有料)の体験コーナなども体験できます。日本の各地で見ることのできる、そういう素朴で癒し系の水族館と殆ど変らない雰囲気で、居心地の良さを感じました。

今回はツアーではなく、現地でもなるべく市民の足(公共交通機関)を利用しました。目的が散策とショッピングだったからです。



海辺の水産市場で売られているタコ 

ソウルの繁華街で体験した人ごみとモノの豊かさとは少し違って、この地ではどちらも大きなギャップを感じました。ここでも首都圏へのモノとヒトの一極集中が進んでいるかもしれない。それにしても、市街中心地や繁華街では、飲食関係とファッション関係、美容エステ関係の看板が際立って多い。日本の商店街や主要駅周辺の繁華街ならどこにもあるはずの、文房具屋や本屋、時計屋、生花店、音楽CDショップ店・・・等、地域住民の日常生活に密着した色んな種類の店舗(老舗を含めて)をあまり見つけることができず、少しがっかりでした。ビルの屋上に設置された看板には、大手企業の名前ばかりが目立つような印象があり、回ったところがまだ少なかったかも知れないが・・・

以前、知り合いの韓国人の中小企業の社長から、日本中小企業の底力がうらやましいと言われたことがあります。韓国経済は財閥企業への依存度の高く、中小企業の育成が不十分だと指摘する声もありますが、もしかしてこのような市民生活の最も近い商店街の特徴にもそういうものが現れているかもしれません。中世から近世、そして近代と現代に至るまで戦火が絶えなかったこの地では、歴史そのものが100年や200年もつづく老舗を育てるそういう環境が難しかったかもしれない・・。

ブサンにいる間に、日本の中小企業の競争力はどこに?という疑問が頭に浮かびました。就職の氷河期と言われている今だからこそ、どこかで眠っているはずの底力を引きだす術はないか・・・。