2010年9月4日土曜日

井上 芳恵

はじめまして。地域コミュニティ論やまちづくり論研究などを担当します、井上芳恵です。現在は、龍谷大学 地域人材・公共政策開発システム オープン・リサーチ・センターで博士研究員を勤めています。出身は山口県で、大学時代は奈良に住み、仕事で熊本に行き、再び関西に戻り・・・、と西日本を中心に色々な都市に住み、地域・まちづくりと関わりながら研究を進めてきました。今回は、私が地域・まちづくりに関わるきっかけともなった、「地域づくりインターン事業」での経験についてご紹介します。

「地域づくりインターン事業」とは、国土交通省が主催する事業※で、夏休みの2週間~1か月の間、都市の学生が農山村地域に滞在し、様々な地域づくりを体験し、地元の人々との交流を深め、地域との継続的な関係を築くことを目指した取り組みです。

※平成8、9年度、平成12~21年度実施。現在は国の事業としては終了していますが、受け入れ地域の独自事業として継続されており、国土交通省のHPでは受け入れ地域の情報が掲載されています。http://www.mlit.go.jp/crd/crd_chisei_tk_000007.html

私は大学院時代に中心市街地活性化について研究を進めていましたが、アンケートやヒアリング調査が中心で、具体的な現場に入って問題を考えてみたいと思っていたところ、先の地域づくりインターン事業の中で、兵庫県のある町で商店街活性化のための調査・研究、政策提言をするためのインターン生を募集していたので、事業に応募しました。

期間中は、他大学の学生と一緒に、地元の行政や商工会ではなかなか本音が聞けないという、商店街の方にヒアリングを行ったり、大型店の店先で買い物に関する街頭調査を行い、それらをもとに、商店街活性化のための現状分析と政策提案を、町長も参加する報告会で成果を発表する、などの取り組みを2週間で行いました。結局、この時滞在した町とはその後残念ながらご縁が無くなってしまったのですが、その後熊本の短期大学に就職し、調査で訪れたと熊本県旧宮原町(現氷川町)でも、この地域づくりインターン事業の受け入れを行っていて、その後どっぷりとインターン事業に関わることになりました。この宮原町での経験については、また別の機会にご紹介したいと思います。

この地域づくりにおけるインターン事業について、参加学生の経験談も交えて、意義や地域への効果、農山村と学生との「協働」の素晴らしさを多くの人に知ってもらおうと、つい最近本が出版されました(宣伝ですみません)。私も、宮原町での経験について紹介させていただいています。興味がある方は、是非手に取ってみて下さい。

「若者と地域をつくる-地域づくりインターンに学ぶ学生と農山村の協働」

編著:宮口侗廸・木下 勇・佐久間康富・筒井一伸

出版:原書房

発行年月:2010年8月

 私が学生時代に比べると、企業や行政へのインターンシップの機会も格段に増え、政策学部・政策学研究科の授業や演習、ゼミでも、上記のような地域の具体的な政策に関わる機会も多いと思います。

これから、人口が減少していくなかで、既存の社会の仕組み、担い手だけでは解決できない問題がたくさん出てきています。国でも、「集落支援員」・「地域おこし協力隊」(総務省)、「田舎で働き隊!」(農林水産省)などの、都市の若者の活力を農山村で活かそうという施策が取り組まれています。そして、農山村地域に関わらず、京都の街中や地方都市でも、「ワカモノ」、「ヨソモノ」の力や柔軟な発想を必要としている地域がたくさんあると思います。大学・学生の街と言われる京都で、演習やゼミだけではなく、他大学の学生たちとも活発な議論を交わしながら地域で活躍できる人材が、龍大政策から育つことを期待しています。