2010年10月31日日曜日

開設記念講演会

村田 和代

龍谷大学政策学部・大学院政策学研究科開設記念講演会「ブータン政府高官が語るブータンの環境保護政策~国民総幸福政策との関連で~」を開催しました。たくさんの方々にご来場いただき会場がいっぱいになりました。 ご来場いただいたみなさまに深くお礼申し上げます。



講師のKarma C Nyedrup先生は、ブータンの社会やひとびとの暮らしについての説明を(&ユーモアも)まじえながら環境政策やGNH政策についてわかりやすくご説明くださいました。

物質的な豊かさと心の豊かさとは必ずしもイコールではありません。あらためて「幸せ」について考える機会となりました。

持続可能な社会は、単一の研究領域だけでは実現できません。今日のお話からも、環境保護政策と仏教を背景とした哲学が深く結びついていることがわかりました。チーム政策のメンバーも、それぞれの研究分野から知恵を出し合い、持続可能な社会の実現をめざして、地域公共人材の育成をめざして、みんなで協力していきたいと思います。

2010年10月28日木曜日

ロンドン滞在記~part 3~

坂本 勝

自然と調和したガーデンの魅力に惹かれ、こちらに来てNational Trust の会員になりました。
National Trust は、映画 Miss Potter でも描かれていましたが、Peter Rabbit の作者Beatrix
Potter が湖水地方の住宅の乱開発を阻止するために本の印税を注ぎ込み、自然的景勝地
などを保存したことなどで知られるボランティア団体ですが、25£の年会費で全国300以上
のパーク、ガーデン、ハウスに無料で入れます。


写真左は、ピーター・ラビットの絵本。写真右は、ナショナル・トラスト2010年版ハンドブック。

滞在中に訪れたロンドン郊外のNational Trust の中では、イースト・サセックスの
Sissinghurst Castle Garden 、ケントのSheffield Park Garden などが非常に印象
深く、広大な庭園でありながら日本人の感性にも合ったガーデンで気に入りました。

写真左は、シシングハースト・ガーデン。写真右は、シェフィールド・ガーデン。


写真左は、カーライル・ハウスの標識。写真右は、カーライル・ハウスの庭。

National Trust の歴史的ハウスもなかなか趣があり、カーライル・ハウスのあるチェルシーに
出かけました。

チェルシーは、6月に開催されるフラワーショーなどで有名ですが、ミュージカル好きの方は、
「メリー・ポピンズ」を連想されるかもしれません。チェルシーが舞台の「メリー・ポピンズ」には
煙突掃除夫が登場しますが、ロンドンは現在煤煙禁止のため、暖炉はガスに切り替えられ、
彼らはミュージカルの世界でしか見られなくなりました。

カーライル・ハウスは、暖炉の煙突が突き出た屋根が立ち並ぶ住宅街の一角にあります。
カーライル(Thomas Carlyle)は、J. S.ミルやゲーテなどとも親交があり、「英雄崇拝論」や
「フランス革命史」などを著したヴィクトリア朝を代表する歴史家として知られています。

カーライル・ハウスの最上階の部屋のテーブルには、ガラス・ケースに入った署名簿が置かれ、
署名欄には14歳の時に父親に連れられて訪れたヴァージニア・ウルフの署名(Virginia Stephen)
などがありました。残念ながら、「留学中にここを訪れて署名がある」とスタッフから聞かされた
夏目漱石の署名は、確認できませんでした。

この度のNational Trust の訪問などを通じて、自然と人間の共生と人間相互の連帯や共生が
いかに大切であるかを実感しました。と同時に、自然と人間の共生と人間相互の連帯や共生の
実現には、「現場主義」に基づく啓発教育が必要不可欠であることを改めて痛感致しました。

ロンドン滞在記~part 2~

坂本 勝

ロンドンでは、車の渋滞とけたたましく鳴り響くサイレンの騒音にうんざりさせられることがありますが、この
車の渋滞の解消とCo2 の削減、市民の健康増進を目的として、ロンドンでも、7月末より自転車の「レンタル・
スキーム」が開始されています。
この自転車の「レンタル・スキーム」については、土山さんがブログで紹介しているように、ダブリン、パリなど
ですでに実施されています。Docking Stations と呼ばれる駐輪場は、ロンドン中心部に約400カ所設置され、
バークレイズ銀行がスポンサーになって、自転車の車体には「BARCLAYS」と書かれています。




写真左は、自転車駐輪場 http://www.tfl.gov.uk/roadusers/cycling/15021.aspx より転載。
写真右は、渋滞で混み合うピカデリー・エロス像前。

渋滞する車の間をすり抜けていく自転車を見ると、レンタル利用者よりも圧倒的に
自家用自転車の方が多く、狭く歪んだロンドンの危険な道路事情を考えると、レンタル
自転車の利用が、今後期待通りに増えるかどうか疑問です。

こうしたロンドン中心部の喧噪のイメージとは対照的に、市内や郊外のあちこちには、
野鳥の天国のようなパーク、ガーデンが散在しています。市内では、St. James's
Park、Queen Mary's Garden、Hyde Park などへよく散策に出かけ、市内から1時間
以内で行けるKew Garden にも2度ほど出かけました。



写真左は、キュー・ガーデン内の日本庭園。写真右は、セイント・ジェムズ公園。

ロンドン滞在記~part 1~

坂本 勝

10月20日に帰国し、「チーム政策」のメンバーに復帰しました。

2010年は、ショパン・シューマン生誕200年、マーラー生誕150年ということで、ロンドンのコンサート等では
3人の曲が盛んに演奏されていましたが、研究分野の公務員制度では、155年ぶりの改革が行われました。

イギリスの近代的公務員制度は、1853年のノースコット・トレヴェリアン報告書に基づき1855年に導入され
ました。しかし、独立の人事委員会は、この報告書が勧告した公務員法ではなく勅令(Civil Service Order
in Council)に基づき設置され、公務員の職務もcivil service code で規定されることになりました。イギリス
の公務員の地位がクラウンのサーバントと規定されるのは、この勅令に起因するとされています。

1990年代以降、メージャー保守党政権、ブレア労働党政権の人事政策により、高級公務員の地位が不安定
化するにつれ公務員法の制定が懸案とされてきましたが、本年ようやく155年ぶりにノースコット・トレヴェリアン
報告書の勧告する公務員法がConstitutional Reform and Governance Act 2010 の一部として制定されています。

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写真左は、テムズ川とイギリス国会議事堂。写真右は、公務員法Chapter 25。

ロンドンでは、トラファルガー広場近くのアパートに滞在しました。その目と鼻の先のパブは、いつ見ても
カメラ持参の客等で大盛況。気になってパブの看板を見ると、SHERLOCK HOLMES とありました。

ベーカーストリートのホームズ・ミュージアムも顔負けの繁盛ぶりに、帰国間近になってその「秘密」を探り
に行きました。パブの2階がレストランになっていて、踊り場近くの小部屋に、コナン・ドイル全集やホームズ、
ワトソンを演じた俳優たちの古びた写真などが展示されていましたが、ただその展示があるだけなのに・・・。

イギリス人は、やはりシャーロック・ホームズが大好きなんですね!


写真左は、パブ正面入り口。写真右は、パブ2階のベランダ・レストラン。

2010年10月21日木曜日

深草駅の(龍大の)反対側

土山 希美枝

疎水と石峯寺の看板
疎水と石峯寺の看板

 秋らしいいい天気が続きましたね。
 深草駅の(龍大から見て)反対側には、疎水が流れています。
 なかなかいい雰囲気なのですが、先日通りかかったら真新しい看板がひとつ。

 石峯寺への案内板です。このお寺には江戸時代の中期に「奇想の画家」といわれたあざやかな個性ある伊藤若冲という画家が掘った五百羅漢像が、お寺の竹林のなかにいまも置かれていて、それをたどって歩くと日常からゆっくり離れていく気持ちに。
 また、入り口には新しいほこらがあるのですが、その横にはちょっと変わったあるモノがあります。気がついた方はぜひ、お寺の方に由来を聞いてみて下さい。
 ちょっと前まで石峯寺の看板はかなーり古くて、サビサビで、実はちょっとそれもいい雰囲気だったのですが。でも、いくぶん誇らしくみえるピカピカの看板も、写真で見ると疎水とそれなりにいい感じですね。
 春、疎水は桜が水面ぎりぎりまで豊かに花をつけます。このブログを読んだ受験生さんが通るかもしれないですね。

2010年10月4日月曜日

英国コミュニティラジオの現在

松浦 さと子

Southall  Desi Radio


2011年4月に政策学部就任予定の松浦さと子です。ブログに参加します。

8月末までロンドンにいました。帰国して日本の暑さに驚きましたが、ようやく衣替えに着手したところです。

さて、英国では、小さなエリアのコミュニティや共通の興味を持ったコミュニティでラジオの免許申請が急増しています。最初のフルタイム免許が交付されて5年、「英国放送史における大きなサクセスストーリー」とOfcom(英国通信庁)が誇っています。

都会や農村、移民のコミュニティセンターや大学、病院など、小さな拠点で、地理的コミュニティや関心を共通するコミュニティの、最も弱い立場の人々に声が届くメディアとして、公共セクターの広報ツールとしても用いられ、ボランティアが支え、デジタル技術をトレーニングする場にもなっています。

日本でもコミュ二ティ放送が1992年からスタートしており、趣旨や放送内容、運営方法も似たところがないでもありません。英国が異なるのは、非営利運営でなければ免許交付されない、という点です。内容においても「商業放送」と明確な違いを実現し、そのコミュニティにおいて実現しようとする社会的利益を明示しなければなりません。

公共予算の削減が続き、市民社会セクターの様々な領域で、財政担当者が見えない未来を嘆くなか、200を超える全国のフルタイム免許局のうち、放送を実施しているところは160あまりしかありません。財政的な厳しさのなか、デジタルトレーニングの供給役を担うなどで社会的企業として乗り切ろうとしています。

また、BBCとも協力関係を築き、人材を送ることにも成功してきました。社会的排除を取り除き、参加型社会を創り上げるために、コミュニティラジオはどのようにその存在意義を示してきたのでしょうか。

時間をかけて答えを手繰り寄せたいと思います。さて、みなさんは、お近くのコミュニティラジオを訪ねたことはありますか。

ベルファストのRadio Falite

コミュニケーションのインフラをどのように築くのか

松浦 さと子

2011年4月に政策学部就任予定の松浦さと子です。続いてブログに参加します。

 8月末までロンドンにいました。帰国して日本の暑さに驚きましたが、ようや
く衣替えに着手したところです。

 今、小さなエリアや共通の興味を持った人々の間でコミュニティラジオが急増しています。

最初のフルタイム免許が交付されて5年「英国放送史における大きなサクセスストーリー」とOfcom(英国通信庁)が誇っています。

 都会や農村、移民のコミュニティセンターや大学、病院など、小さな拠点で、
地理的コミュニティや関心を共通するコミュニティの、最も弱い立場の人々に声
が届くメディアとして、

公共セクターの広報ツールとしても用いられ、ボランティアが支え、デジタル技術をトレーニングする場にもなっています。

 日本でもコミュ二ティ放送が1992年からスタートしており、趣旨や放送内容、
運営方法も似ています。

英国が異なるのは、非営利運営でなければ免許交付されない、という点です。内容においても「商業放送」と明確な違いを実現し、

そのコミュニティにおいて実現しようとする社会的利益を明示しなければなりません。

 公共予算の削減が続き、市民社会セクターの様々な領域で、財政担当者が見えない未来を嘆くなか、

200を超える全国のフルタイム免許局のうち、放送を実施しているところは160あまりしかありません。
 財政的な厳しさのなかあ、デジタルトレーニングの供給役を担うなどのことで社会企業として乗り切ろうとしています。 

 また、BBCとも協力関係を築き、人材を送ることにも成功してきました。社会的排除を取り除き、参加型社会を創り上げるために、

コミュニティラジオはどのようにその存在意義を示してきたのでしょうか。

 時間をかけて答えを手繰り寄せたいと思います。

 さて、みなさんは、お近くのコミュニティラジオを訪ねたことはありますか。

ベルファストのRadio Faliteロンドン サウソールのDesi Radio