2013年12月18日水曜日

「キャリアデザインのための企業研究」発表会

事務室

こんにちは、政策学部教務課 野村です。
今日は政策学部の講義「キャリアデザインのための企業研究」のご紹介をいたします。

 この講義は、付加価値の高い製品やサービスを提供する企業や変化に対応する老舗企業などの競争力の源泉を考察し、求められる人物像に対する理解を深め、自らのキャリア形成について考えるきっかけを与えます。また、学生が企業を訪問しインタビューをすることで財務諸表などでは見えない強みを発見し、それをどう活かすかを考えて企業に対して新規事業を提案する講義です。

 今年は学生が5チームに分かれ、次の企業に訪問・インタビューをさせていただきました。
 ・有限会社 篠ファーム
 ・Dari K 株式会社
 ・中野製薬 株式会社
 ・株式会社 ロマンライフ
 ・株式会社 和光舎
ご協力いただいた企業のみなさま、ありがとうございました。

 そして、今日は新規事業提案の発表会の日でした。
ご協力いただいた企業の方々が学生の提案を聞くためにお越しくださり、スーツに身を固めた学生がチームで制作したスライドを用いてプレゼンをしました。

 授業が始まる前から学生の間では緊張感が漂っていましたが、いざプレゼンの時にはみなさん堂々と発表されていてとても感心しました。
プレゼン資料もしっかりとわかりやすく作り込まれていて、みなさんがこの新規事業提案に大きな思いを込められていることがとても感じられました。

 各チームのプレゼン終了後には企業の方や他のチームから質問や講評があり、するどい質問に一生懸命答えている様子や企業の方に褒めていただき喜んでいる様子が印象的でした。

チームのプレゼン風景
   発表会終了後、企業の担当者との交流


 学生は、企業に訪問することで社会人のマナーを知ることができ、また企業の担当者から生の声を聞くことができるという、学生の間にはなかなかできない貴重な経験をすることができたと思います。また、2年生ながら「社会人」のイメージが少し沸いたのではないでしょうか。
このような実践的な講義は卒業した後もきっと記憶に残ると思いますし、身になって活かされることと思います。

 さて、今年も残すところあとわずかとなってきましたね。
一年はあっという間ですが、大学の4年間もあっという間だと思います。
学生のみなさんには、人生の中では短いけれど人生において大切な4年間を思いっきり楽しんで貴重な経験をたくさんしてほしいなと思います。4年間の大学生活が充実したものとなるよう、私も職員として精一杯サポートします!

2013年12月10日火曜日

2013年度政策系演習合同討論会

井上 芳恵

半年ぐらい更新が滞っていましたが、その間も政策学部では、総務省の「域学連携」地域活力創出モデル実証事業として
兵庫県洲本市や京都府京丹後市への長期滞在型インターンシップが実施されたり、
京都府福知山市において市民会議に学生がファシリテート役として参加したり、
ドルトムント工科大学との交流事業が進められていたりと、活発に様々な取り組みが進んでいます。


そして、政策学部1期生もいよいよ12月から就職活動解禁ということで、学内もスーツ姿が目立つようになりました。
早速、合同説明会など多数参加している学生も多いようですが、
説明会に参加するだけで就活をしている気にならず、しっかりと自分の目指すべき方向と、
それにマッチする業界、企業、働き方を見つけられるよう、頑張ってほしいと思います。


今回は法学部政治学科の伝統を受け継いだ、演習合同討論会について紹介します。
1回生の基礎演習でも合同討論会が実施されますが、2回生後期から多くの学生が演習(ゼミ)に所属し、
そこで調査・研究したことについてゼミ対抗で発表し、討論を行うものです。
今年は、初めての演習合同討論会の開催で、実施時期や方法については、主催する政策学部ゼミナール連合会も教職員も、
手探りの状態でしたが、6月と11月の2回に分けて開催されました。
6月の開催では、2つのゼミの直接対決となりましたが、他のゼミからも多数聴講に参加し、11月の討論会に向けた準備も進められました。
そして11月は18ゼミが参加し、3会場に分かれて「未来への革命~卵たちの響宴~」と題した討論会が実施されました。


政策学部では、ゼミの専門も多様なので、それぞれのゼミで特色あるテーマ、アプローチで社会の課題に向き合うことができたと思います。
安易に政策提案するだけではなく、しっかりと社会の課題を見つめ、その現状や要因を分析することが求められ、
政策提案を行うにあたっても、自分たちには何ができるのかということも考え、今後の活動や行動に結びつけてもらえたらと思います。


さらに12月には大学コンソーシアム京都において、「第9回京都から発信する政策研究交流大会」が開催され、
政策学部からは5つのゼミが参加しました。
11月の討論会での議論を受けて内容をブラッシュアップし、他大学も多数参加する中、3つのゼミが優秀賞を受賞しました。
政策学部としては初めての参加でしたが、素晴らしい成果だと思います。

政策学部1期生は先輩もいない中で、色々な活動を模索しながら、龍大チーム政策の活動を社会に発信してきました。
来年度は1期生もいよいよ卒業の年となり、「地域公共人材」としてそれぞれのスタイルで社会で活躍してもらいたいと思います。
そして、3回生が就職活動に入り、ゼミも2回生が中心になってきました。
先輩たちの背中を見つつ、新たなチーム政策のチャレンジを展開していきましょう!!


NPO・地方行政研究コース10周年記念シンポジウムが開催されました

事務室

こんにちは。
政策学部 教務課の野村と申します。
今年の9月に龍谷大学に職員として採用され、3ヶ月が経ちました。
毎日が初めてのことばかりで、ワクワクドキドキしながら仕事をしています。
政策学部で仕事をしていて思うのは、本当に意識が高く、意志の強い、元気な学生が多いということです。そのパワーに私は圧倒されっぱなしで、学生のみなさんの活動から教えられることがたくさんあります。

 先日の12月7日(土)に開催された「NPO・地方行政研究コース10周年記念シンポジウム」でも、政策のパワーを感じることができました。

 「NPO・地方行政研究コース」は、地方自治体やNPO団体など分権社会において活躍する「地域公共人材」を育成することを目的として開設している大学院修士課程のコースであり、法学研究科・政策学研究科から所属することのできる研究科横断型プログラムです。

 シンポジウム当日は「地域公共人材の挑戦-枠を超え、今を越える-」をテーマに行政・民間企業・NPO法人の現場で活躍していらっしゃる方々をお招きしてのパネルディスカッションや講演会を開催しました。

 パネルディスカッションでは、茨木市議会議員の小林美智子 氏、高齢者世帯向けの地域福祉事業を行われている株式会社アグティの代表取締役 齊藤徹 氏、職員採用において公務員試験対策を特に必要としない「人物重視」を掲げた先進的な取り組みをされている明石市・人事係長の中原一憲 氏、在日コリアンをはじめとする外国籍住民に対する福祉事業・支援事業を行っているNPO法人京都コリアン生活センター エルファ事務局長の南珣賢 氏が、それぞれの現場の観点から現在の社会の課題や現場での取り組み事例、それにおける人材の役割等について意見を交わされました。

パネルディスカッションの様子



 また講演会では、「NPO法人環境市民」の活動を経て、生駒市環境経済部の次長に転身された堀孝弘氏が、セクターを越えた人材の育成についてのお話を、元ニセコ市長で前衆議院議員を務められ、現在本学政策学部の客員教授である逢坂誠二氏が「新しい公共」を担う人材像について国内外の事例を踏まえたお話をそれぞれいただき、約80名の参加者がメモをとりながら熱心に講演に耳を傾けていました。

堀孝弘 氏の講演風景
   逢坂誠二 氏の講演風景





  シンポジウム終了後は懇親会を開催し、NPO・地方行政研究コースの修了生や協定先の方々が昔話に花を咲かせたり、現在の仕事や活動、研究についての意見交換をするなど、終始なごやかなムードに包まれていました。何よりも枠を越えたみなさんのつながりの強さには本当に驚かされました!

 この会に参加して、改めて社会の課題の多さや解決の難しさを感じましたが、それに挑んでいる人々がたくさんいること、そしてそのエネルギーの大きさを強く感じました。
 人生、日々勉強。私も「チーム政策」で他のメンバーに負けないようにがんばりたいと思います。

2013年12月7日土曜日

国際環境協力-温暖化防止と健康

北川 秀樹

私は2002年にNPO法人環境保全ネットワーク京都を立ち上げました。昨年の10周年を記念してこのほど記念誌『国境を越えた環境保全活動-10周年の足跡をたどる-』を刊行しました。ご関心のある方はご連絡ください。以下ではその内容を簡単にご紹介します。
 2004年に初めて京都とゆかりのある中国陝西省西安市の南部・長安区でポプラを植えたことに始まり、その後7年間、西安市の北方に位置する富平県と三原県の黄土丘陵約500haにコノテガシワ、カキ、クルミなどの植樹協力をおこなってきました。
 2011年11月からは、三原県に隣接した淳化県において協力をおこなっています。今回の協力のカウンターパートは、農民が出資して作った林業合作社です。それまではいずれも県政府の林業局をカウンターパートとしてきましたが、陝西省の国際協力事業としては初めての試みである民間事業主体を相手方としています。ここで私たちは文冠果という木を植えています。文冠果は陝西省などの半乾燥地域の固有種です。ムクロジ科の木でたいへん乾燥に強く、根は長く伸び、その皮には水を蓄える機能があり、年間降水量が300~600mm程度のところでも育つため、中国では乾燥地の緑化樹として使われています。文冠果の実は「はねつき」に使われるムクロジと同じ形の実で、それより一回り大きい実をつけます。この文冠果の実や葉には有用な油分が含まれており、実からは油を抽出し、葉はお茶に加工されています。文冠果の葉を発酵させたお茶は、「長寿茶」として秦の時代から重用され、血液をサラサラにするなど薬用効果が高いとして高値(黒茶400g,希望小売価格約46,000円)で販売されています。発酵させた黒茶と、発酵させずにそのまま乾燥させた青茶があり、どちらも高血圧に効果があるとのことです。
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 現地では、文冠果の植樹は10万ムー(約6700ha)の面積で企画されています。文冠果は乾燥した気候の下で水分を吸収する必要があるため、地上の成長に比して根が非常に長くかなりの炭素固定量が期待できます。
 我々の活動が地球温暖化防止にも貢献していることを実感しており、機会があれば1本の文冠果の木がどれほど炭素を固定しているか計測してみたいと思っています。植樹協力を通じ水土流失や地球温暖化の防止に貢献しながら、地元の住民の生活支援にもつながるということで環境と経済の両立が図られるとともに、健康面でも大きな効果を上げています。

2013年12月6日金曜日

多数派権力の「恐ろしさ」を記憶にとどめたい

奥野 恒久

2013年12月6日、今日にも、特定秘密保護法が成立する見通しである。この法案、国民主権原理に反し、知る権利や取材の自由を含む、表現の自由(憲法21条)を侵害し、広く人々を委縮させる効果をもつため、憲法学を研究する者として、憲法違反と断ぜざるをえない。とりわけ、主義主張や飲酒の節度まで調査するという「適性評価」制度は、学生を社会に「巣立たせる」教員として、震えるほどの恐ろしさを感じる。
 だが、ここで問題にしたいのは、この法案の中身ではない。政策学部という本学部が研究対象の一つとする政策形成や政策決定のその前提となる民主主義についてである。毎日新聞の世論調査では、この法案への「賛成」が29%で、「反対」が59%であった(11月12日)。朝日新聞や日経新聞の調査でも、「反対」が50%を占めている。「反対」あるいは「慎重」というのが国民の声である。にもかかわらず、強行しようというのが政府与党である。また、国会論戦も、例えば公聴会で出された指摘を反映するのではなく、あたかも「無視」して翌日に採決を行うなど、主張内容の力ではなく数の力だけの「論戦」である。それが今の「国権の最高機関」(憲法41条)たる国会であり、今の日本の民主主義である。
 だが、そのような議員を選出したのは、ほかならぬ国民ではないか。その通りである。2012年12月の衆議院選挙、2013年7月の参議院選挙を経て巨大与党が誕生し、「ねじれ」も解消して今の国会にいたっているのである。
 ならば、今の国会は、民主主義を考える者に多くの課題を与えてくれる。例えば、先の二つの選挙で与党が大勝した要因は何か。衆議院では小選挙区制という制度を採用しているがこの制度に問題はないか。選挙を報じるメディアの報道はどうだったか。選挙時の国民意識はどのように形成され、それぞれの政党は何をどのように訴えたか。あるいは、本来、国会の論戦はどうあるべきか。国会論戦と世論との関係、国会運営の手続と法、二院制の役割。さらには、多数派とて侵すことのできない人権という理念を今どう構成し、どう活用すべきか、などなどである。政策学部のスタッフは、政治学、法律学、経済学、社会学はもちろんのこと、メディア論、コミュニケーション論、市民運動論など多様な学問分野の研究者で構成されている。まさに、今の国会を題材としての「民主主義の再生」という課題は、学部をあげ、教員、院生、学生を巻き込んでのテーマだと言えよう。
 だが、その前にどうしても記憶にとどめておきたいことがある。多数派権力は「やりたい放題」にすることができ、「恐ろしい」という事実である。「ファッシズム」と闘う覚悟が必要なのかもしれない。

2013年12月3日火曜日

コンペで都市に夢をみる

阿部 大輔

デザインの分野では、よく「設計競技」が開催されます。英語の表現から「コンペ」(Competition)とも呼ばれます。建築や都市計画、都市デザインの領域も同様で、毎月さまざまなコンペが全国各地で行われています。一般的にコンペでは、あるテーマや敷地等の条件設定のもと、複数の応募者にデザインを競わせ、優秀作品を選びます。こうしたコンペに積極的にチャレンジしていくことは、大学での学びを深めるためにとても大切です。都市について考えたことを図面の上で表現する過程で、空間が果たしうる役割について理解が深まるだけでなく、空間では果たせない役割も同時に見えてくるからです。

僕も学生の時分、といっても修士課程の時ですが、研究室(ゼミ)の仲間と隔月くらいのペースでコンペに取り組んでいた時期がありました。正直に言うと、コンペに取り組むことが好きで好きでたまらない、というわけではありませんでした。終わりの見えない議論に辟易したり、自分たちの分析の希薄さにうんざりしたりするのは毎度のこと。迫る締め切りと進まない内容。どこにでもありそうな提案。議論の行き詰まりは、メンバー間にちょっとした感情的対立を招いたりもします。

やるたびに、それなりにしんどい思いをします。けれど、そうした重苦しい状況をブレイクスルーする瞬間があって、それからは図面が生き生きと動き出していくのです。苦しんだ分、そのときのぞくぞくする感覚は何にも代え難いものがあります。作品を提出し終わったあとの打ち上げて、すべてを水に流して語り合うのも好きでした。都市がどうあるべきか、夜更け過ぎの議論が20代の僕の専門家としての基礎をつくったといっても、まあ過言ではないでしょう(少し大げさだけど)。そして、コンペで取り組んだ都市・地域がちょっとだけ好きになっていくのです。

連日連夜、睡眠時間を削りながら取り組んでも、所詮は「絵空事」かもしれません。ですが、絵空事、あるいは机上の空論を描くことでしっかりと目指すべき空間像や論理が浮かんでくることもたくさんあります。絵空事であることを軽視すべきではありません。机の上で学び、そして現場で学び、机上・現場両者の面白さや限界を理解し、その両者を補完的な関係として捉え直すこと。そこからしか、持続可能な社会を支える政策は生まれてこないと思います。

都市に夢をみることから、都市をつくる仕事は始まります。そして、学生の時に僕が都市に夢をみることができたのも、数々のコンペに取り組んだおかげだったと、いまさらながら思っています。