2010年11月15日月曜日

地球環境問題とわたしたちの行動

北川 秀樹

環境政策を担当している北川です。
先月、名古屋で開催された生物多様性条約の締約国会議・COP10では、遺伝子資源の利益配分に関する名古屋議定書、海・陸の自然保護区の面積割合を定めた愛知ターゲットが決定されました。
地球温暖化防止に関する京都議定書と並び、日本の地名を冠した、二つ目の環境に関する議定書が採択され、大変名誉なことと思います。とかく経済発展との関係で、国益が衝突する環境交渉において、不十分ながらも合意に達したことは、地球環境を保全しようという人類の英知と良心の成果と素直に受けとめたいと思います。
私は、今から10年前、オランダのハーグで開催された地球温暖化防止条約第6回締約国会議・COP6に、京都府の職員として参加しました。このときは残念ながら京都議定書の運用ルールについての合意がなされず、たいへん落胆しました。それに輪をかけるように翌年には、アメリカが議定書離脱を表明し、地球温暖化対策の進展に強い危機感を覚えました。しかし、何とか2005年に京都議定書は発効しました。


NGOの土のうで包囲されたハーグ国際会議場(2000年11月)

今月末からメキシコで始まるCOP16では、京都議定書後の地球温暖化対策の枠組みについて話し合われます。地球は一つしかなく、後世代のために良好な環境を残すことは我々に課せられた責務です。アメリカはもちろん、中国やインドのような大国は、経済的な利益のみを追求せず、持続可能な発展という大局的な見地から判断してほしいと願わずにいられません。
交渉では、何が公平なルールなのか議論はつきないかもしれませんが、不可逆的な地球環境の破壊を食い止めるため賢明な選択をすべき時に来ていると思います。
私は、中国の環境問題の研究を専門にしていますが、環境問題は座学でなく、実践が大切だと思っています。特に、隣国中国は世界人口の1/5近くを擁し、急速な経済発展の中で環境への負荷も増大しており、ここの環境悪化は日本へも直接影響します。昨日も中国大陸から黄砂が飛来しましたが、大陸の乾燥と無関係ではありません。このような立場から2002年にNPO法人・環境保全ネットワーク※を立ち上げ、毎年中国内陸部の西安市郊外で植樹活動をおこない、すでに300haの土地に木を植えています。しかし、今年は尖閣諸島の漁船衝突事件が尾を引き結局ツアーの受け入れを断られました。環境問題は国境を超えると思っていただけに残念な思いをしました。


西安市郊外のポプラは20m近くに成長している(2009年11月)

研究、教育、実践活動と環境保全のために微力でも役立っていることに充実感を覚えています。皆さんも是非関心を持ち、一緒に考え、行動しましょう。

※NPO法人の活動に関心のある方はホームページ(http://envkyoto.com/)をご覧になり、ぜひ活動にご参加ください。