2011年2月1日火曜日

フィールドワークの味わい深い楽しみ

清水 万由子

はじめまして。環境社会学を担当する清水万由子です。

寒い日が続きますね。みなさん、風邪など引いていませんか?
雪による事故や被害も起きていると聞きます。
早く、穏やかな春を迎えたいものですね。

さて、みなさんは何をしている時がいちばん楽しいですか?

友達とのおしゃべり。
スポーツに打ち込む。
おいしいものを食べる。

いろいろありますよね。
今の私にとって、いちばん味わい深い楽しみは・・・と考えると、やはり「フィールドワーク」でしょうか。

私は主に、地域の環境保全や自然資源管理などに、多様な人が 関わるための仕組みについて研究しており、フィールドワークの多くは、地域の方への聞き取り調査(インタビュー)です。
最近は、石垣島のサンゴ礁保全や兵庫県豊岡市のコウノトリ野生復帰の取り組みの調査を始めています。

フィールドワークとは、現地調査のこと。
実際に、研究対象とする地域に足を運び、その土地の風景を見ながら、土地の人に話を聞かせてもらって、彼らが食べるものを食べ、彼らが飲むものを飲む。
これが、フィールドワークの楽しみを味わう第一歩です。


石垣島の郷土料理です。サンゴ礁の海の恵み、野菜やお米なども自家製です。
昔から儀式のときに食べられてきた食事などもあり、作り方を聞きながら頂きました。

とは言っても、事前に下調べをして調査計画を立てて行きますので、あれこれと聞きたいこと、調べたいことを頭に入れて行くわけです。
日々の生活に忙しい人たちに時間をとってもらい、彼らにとっては「役に立たない」ことまで根ほり葉ほり聞く。これはなかなか勇気の要ることです。
しかも現地に行ってみると初めてわかることが多く、ピントがずれてた…?なんてことも少なくありません。時には、地域の方からの厳しい批判にさらされることもあります。
ここから、フィールドワークの苦しくも味わい深い楽しさが始まります。

現地で興味を引かれたことを書き出してみる。
当初想定していた状況と違った理由を考えてみる。
自分が知りたいことは何か?もう一度、初心に戻って考える。
現実と自分の頭とを行ったり来たりして、次の調査計画を立てたり、論文にしたりします。

外から訪ねて行って少し話を聞いただけの自分に何がわかるの?とウジウジすることもありますが、忙しいなかをインタビューに応じてくださった方々の顔を思い浮かべながら、アウトプット(論文、発表、現地の方への説明等々)に向かって自分を奮い立たせています。

何度も現地に足を運び、いろいろな人と話をして、少しずつ「大事なこと」をつかんでいく過程は、きっと地域の方々との共同作業のようなもの。
みなさんと一緒に、そんな研究をしていけたらいいなと思います。

 

兵庫県立コウノトリの郷公園で飼育されているコウノトリ。(今は鳥インフルエンザ予防のため、隔離されています。)
コウノトリが野外で暮らせる環境をつくろうと、有機農業や環境再生(湿地造成など)が取り組まれています。