2010年10月28日木曜日

ロンドン滞在記~part 3~

坂本 勝

自然と調和したガーデンの魅力に惹かれ、こちらに来てNational Trust の会員になりました。
National Trust は、映画 Miss Potter でも描かれていましたが、Peter Rabbit の作者Beatrix
Potter が湖水地方の住宅の乱開発を阻止するために本の印税を注ぎ込み、自然的景勝地
などを保存したことなどで知られるボランティア団体ですが、25£の年会費で全国300以上
のパーク、ガーデン、ハウスに無料で入れます。


写真左は、ピーター・ラビットの絵本。写真右は、ナショナル・トラスト2010年版ハンドブック。

滞在中に訪れたロンドン郊外のNational Trust の中では、イースト・サセックスの
Sissinghurst Castle Garden 、ケントのSheffield Park Garden などが非常に印象
深く、広大な庭園でありながら日本人の感性にも合ったガーデンで気に入りました。

写真左は、シシングハースト・ガーデン。写真右は、シェフィールド・ガーデン。


写真左は、カーライル・ハウスの標識。写真右は、カーライル・ハウスの庭。

National Trust の歴史的ハウスもなかなか趣があり、カーライル・ハウスのあるチェルシーに
出かけました。

チェルシーは、6月に開催されるフラワーショーなどで有名ですが、ミュージカル好きの方は、
「メリー・ポピンズ」を連想されるかもしれません。チェルシーが舞台の「メリー・ポピンズ」には
煙突掃除夫が登場しますが、ロンドンは現在煤煙禁止のため、暖炉はガスに切り替えられ、
彼らはミュージカルの世界でしか見られなくなりました。

カーライル・ハウスは、暖炉の煙突が突き出た屋根が立ち並ぶ住宅街の一角にあります。
カーライル(Thomas Carlyle)は、J. S.ミルやゲーテなどとも親交があり、「英雄崇拝論」や
「フランス革命史」などを著したヴィクトリア朝を代表する歴史家として知られています。

カーライル・ハウスの最上階の部屋のテーブルには、ガラス・ケースに入った署名簿が置かれ、
署名欄には14歳の時に父親に連れられて訪れたヴァージニア・ウルフの署名(Virginia Stephen)
などがありました。残念ながら、「留学中にここを訪れて署名がある」とスタッフから聞かされた
夏目漱石の署名は、確認できませんでした。

この度のNational Trust の訪問などを通じて、自然と人間の共生と人間相互の連帯や共生が
いかに大切であるかを実感しました。と同時に、自然と人間の共生と人間相互の連帯や共生の
実現には、「現場主義」に基づく啓発教育が必要不可欠であることを改めて痛感致しました。