2010年12月17日金曜日

ブータン王国を垣間見て

富野 暉一郎

夏期休暇を利用して、かねてから行きたかったブータン王国に調査に行きました。



ブータンになぜっ?と思うでしょうね。

実は13年前に自治体国際連盟が行った自治体国際協力の研究プロジェクトに参加した際に、島根県三隅町(現浜田市)という小さな町が、
ブータン政府と協定を結んで、日本の手透き紙の技術移転を行っている事例の調査を担当したことがありました。
しかし当時はブータンが半鎖国状態であったために入国ができず、現地調査ができなかったことがずっと気になっていたのです。
それが今年の春、JICAの研修の際にブータンから派遣された政府職員に会い、その方のお世話で念願の訪問調査が実現しました。

ヒマラヤの懐にある神秘的な仏教国、国民総福祉量(GNH)政策で世界的に有名な王国、
徹底的な環境保護・生物多様性保護を推進している特異な開発途上国、などなど、
今やブームと言えるほど多くの人々を惹きつけているブータンですが、その実態はどうなのでしょうか。

短い滞在期間ではありましたが、財政・GNH政策・環境政策・地方制度・教育システムなどについて政府関係者などから聴取するとともに、
地方の各地域を訪問して、地方行政の実態、宗教と人々の日常生活の関係、各地の環境と自然の状況などを視察して、
ごくうわべだけではありますがブータンの一端に触れることができました。

私の結論は、“この国は本格的な総合的地域研究を展開するに十分値する”というものです。

ところでこの旅でびっくりするような出会いがありました。
13年前に調査した日本の手漉き紙技術移転の成果が、しっかりと首都ティンプーの紙すき工房として生き残っているだけでなく、
その工房でお会いした社長さんが、まさに初めてブータン政府から三隅町に派遣された元政府職員だったのです。
イヤー本当に感激しました。何か目に見えない糸で結ばれてここにたどり着いたのだという感じでしたね。





こんな出会いがあったブータン王国との再会ですが、
早速11月にはブータン政府国家環境委員会の高官に龍谷大学でブータンのGNH政策と環境政策について講演をしていただくなど、
どうやらこれからもお付き合いが続きそうです。