2011年1月14日金曜日

龍谷大学キャンパス語

村田 和代

こんにちは。 村田 健三郎先生に引き続き、「チーム政策」のもう一人の「村田」の村田 和代です。 社会とことばの関係について研究しています。今日は、以前行った"ちょっとおもしろい調査"の結果について投稿しますね。

約100名の龍大生に「龍谷大学キャンパス語」として思いつく語をあげてもらったところ、約120語が集まりました。 表現対象によって分類すると次のようにまとめられます。





















































龍谷大学に直接関係する語授業、成績、あるいは大学行事に関する語アメ歴、アジ歴、エラー、大宮マジック、学祭、キックする、基礎演、基礎2、クラサポ、K、再履、サマセ、自主休講、スペ語、全取り、卒論、だぶる、たんえ、チャイ語、独語、はしる、バトミ、般教、フラ語、フレキャン、フル単、文祭、ポル語、本登、祭りに出る、宮日、予備登、龍祭、キプる
龍谷大学の構内施設に関する語学館、北、祇園精舎、草、顕前、三地下、瀬田キャン、テレビ、二地下、8トレ、バッハ、東、朋館、ボックス、宮、緑の監獄、四地下、陽館、陽ロビ、ラウンジ、ラブスペース
龍谷大学の学部(学科)・学生、あるいは大学組織に関する語営、英文、英米、学文、済、吹奏さん、シャカシャカ、スポサイ、瀬田っ子、中執、日文、8トレ王、文局、深草人、宮っ子、龍大、龍実
龍谷大学の周辺施設に関する語えい、ポポロ
仏教に関する語たんえ、寺っ子、祇園精舎
日常生活等に関係する語日常の行動・生活習慣に関する語イタメシ、エース、オール、追いコン、カテキョ、コピる、ササチー、深夜、新歓、ゼミコン、ブチる、ブッチする、リーチ、連チャン、ハコる、拒否る、タクる、サボる
移動や通学手段に関する語京阪、ゲンチャ、瀬田バス、チャリ、チャリ通、二穴、宮バス、龍バス
情報伝達手段に関する語コピカ、通達、パソる、リソ、龍チャン
人間関係に関する語おな中、じもティー、じもッチ、はみる
遊び・娯楽に関する語合コン、徹マン、飲み
ファッションに関する語プリン、オネエ、ヤン毛
進路に関する語就活

 

上の表にあげられた語の多くは、新しく造られた語です。「新語」はどうやってできるのか? これにはパターンがあります。 もっとも一般的なのが、「省略」です。既存の語の一部を省略して新しい語を作るというものです。(例:追い[出し]コン[パ]) 他にも、「合成」(語句を補うと元の意味が復元できるもの、例:おな(じ)中(学出身者)、「名詞の動詞化」(例:コピる)、「英語を取り入れた造語」(例:じもティー[人を表す接尾語<-ee>を「地元」につけている])、「語呂合わせ」(例:しゃか(い学部)しゃか(い学科)[しゃかしゃか、というオノマトペにかけあわせている])、「イメージからの語」(例:プリン[茶色く染めた髪の毛の根元が伸びて上だけが黒く目立っている状態])、「元の意味からの派生」(例:リーチ[あと一回休んだら単位が取れない出席状況]) といったパターンがあります。

さてみなさんは、「龍大キャンパス語」の中でどれくらい意味がわかるでしょうか? 全然わからない・・という語もあったかもしれません。 こういった新語や造語は、主として、あるコミュニティの仲間としてのマーカーとして、メンバー同士の連帯感を表すため・・に使用されると考えられています。そしてあるコミュニティだけで使用されていたのが(言語変種)、社会全体に広まっていく場合もあるわけです(言語変化)。ことばは生き物です。新しい単語が生まれるだけでなく、元からあった語の意味が変わったり(例」「やばい」は今やポジティブな意味にも使われますね)、文法変化を起こしたり(例:twitterでは、東京なう、食べるなう といったように「なう」が「~している」の代わりに使われています)もします。

そして、ことばは、単に情報を伝達するといった役目だけでなく、人と人とをつないだり、自身のアイデンティティを構築したりといった役割も担います。 さらにマクロなレベルでは、社会の価値観や世相を反映するといった役割も担っています。(「タイガーマスク現象」もまさに社会の動きを反映した新語ですね。)

「ことば」や「コミュニケーション」を通して社会を見てみませんか?持続可能な社会の構築に貢献できる「ことば」や「コミュニケーション」の調査や研究を、一緒にやってみよう!という方を募集中です! 

※ 龍大キャンパス語について詳細は、「ポライトネスから見る若者ことばの機能 : 龍谷大学キャンパス語の分析を通して」(龍谷大学国際センター研究年報第14号)