2011年3月22日火曜日

対談

村田 和代

チーム政策広報委員の村田和代です。先日、龍谷大学案内に政策学部の企画として掲載する対談のために、乙武 洋匡さんをお招きしました。白石学部長(就任予定)や、来年度政策学部クラスサポーター(法学部政治学科2回生3名)と対談いただきました。


乙武さんは、大学在学中に『五体不満足』を出版され、卒業後は、7年間スポーツライターとして活躍されました。その後、これまで育ててもらった恩を次世代に返したいという思いから、29歳で大学に戻って教員免許を取得され、3年間小学校で教鞭をとられました。現在は、メディアを通して社会に向けてさまざまなメッセージを発信されています。さらに4月からは、「まちの保育園」の経営に携わられます。地域との交流を通して子育てができるようにと仲間とともに開設される保育園です。

白石先生との対談では、乙武さんが大学時代に関わったまちづくりの活動や、これまでの多方面多分野にわたる活躍をめぐって話が進められました。クラスサポーターのみなさんとの対談では、乙武さんに聞いてみたいことというテーマで話が進められ、たとえば「学ぶ意味は?」「取材したり、人前で話すコツは?」といった質問が出ました。

広報委員の役得?!で、2つの対談を見学させていただくことができました。実は、『五体不満足』を出版されて以来ずっと乙武さんのファンで、この企画について広報委員会で話し合っているときからずっとはしゃいでいた私です。いつもポジティブに生きていらっしゃる姿や、よりよい社会に向けて貢献したいという姿勢に感銘を受け、ずっと応援してきました。かっこよくておしゃれだから・・というのがファンになった理由というのもあるのですが。。。 本物の乙武さんにおめにかかれて、大感激でした!!

対談の内容の詳細は来年度の大学案内の冊子で紹介されますので、ここでは、私の心に残った乙武さんのことばを3つ(私のメモに基づく要約で)ご紹介することとします。

まずひとつ目は大学生活について。「大学にはやりたいことを見つけるために行くのでもよい。そこでは、多くの出会いと経験を重ね、多様な価値観にふれ、自分の引き出しを増やすことが大切である。」大学はこれまでの高校生活以上に、さまざまな活動や学びの機会があります。でも「受け身」のままでは何も生み出すことなく4年間はあっという間に終わってしまいます。とは言っても何から始めたらいいのだろうという人に。「普段接している友達ばかりでなく、ちょっと苦手だなと思っている人に勇気を持って話しかけたり、ボランティアなどの活動に参加してみるといったことから始めてみよう。」乙武さんからのアドバイスです。

二つ目は、教師の役割について。「勉強を教え○○まで到達させるといった目標は必要だけれども、一番大切なのは、子供たちの心を育てることだと思う。それは、すぐに花が咲く場合もあれば、1年後、5年後、あるいは大人になってからかもしれない。でも、心のふれあいが教育の中でもっとも大切なのではないだろうか。」これは、学生との対談の中でおっしゃっていたことにも共通しています。「スポーツライターとしてインタビューする場合でも、人前で話すときでも、うまく聞こうとかうまく話そうとうわべだけがんばってもだめで、あなたの話を聞きたいという思い、これを多くの人に伝えたいという思いがあって初めて聞き手に伝わるものだと思う。」心のふれあいや話し相手とのラポール構築の重要性については、私自身もコミュニケーションの研究を通して主張してきました。今後は、教員としても、これをもっと大切にしていきたいと思いました。

最後に、大学の役割について。これについては、乙武さんと白石先生の意見が見事に一致し、以下はお二人のことばをまとめたものです。「大学は知恵と人材の宝庫である。大学の豊富な資源を使いながら、さまざまな社会実践を通して、地域の多くのひとびとが関わることで、社会(地域)が持つプラスのエネルギーを引き出していくことが大学の役割である。」 これこそまさにチーム政策が目指す大学の役割で、乙武さんと白石先生の間でどんどん話が盛り上がっていき、聞いている私も、「私もそう思います!」と何度も声が出そうになりました。

対談当日は、震災の影響で交通機関のダイヤも不安定な中、東京から来ていていただきました。乙武さんには、心より感謝いたします。余震の心配もあり、ご家族を東京に残して出てきていただくのは、ご心配だったことと思います。 対談が終わって、乙武さんのHPを拝見したところ、嬉しい”tweet”を見つけました。“今日は、関西で一日を過ごしました。家族と離れてしまった不安はあるものの、緊迫した空気から解放され、心がひと息つくのを感じた自分もいました。西日本のみなさんには、罪悪感や無力感を感じることなく、笑顔で日々を送ってほしい。西日本から、元気を送ってほしい。みなさんの笑顔に救われたから。” 乙武さんから、チーム政策にむけて、たくさんの元気とエールをいただきました。東京―京都と離れていますが、社会実践を通して、また乙武さんとご一緒できればと思います。ますますのご活躍をお祈りいたします。

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この度の、東北地方太平洋沖地震により被害に遭われた多くのかたがたに、心よりお悔やみ、お見舞い申し上げます。ニュース映像を見るたびに、ただただもどかしく胸が痛みます。何かできないだろうか、と考えてらっしゃる方も多いかと思います。京都災害ボランティア支援センターやきょうとNPOセンターでも活躍中の、チーム政策メンバー 深尾昌峰先生に話をうかがいました。以下にポイントをまとめます。『被災地で求められること』を優先順に考えると、1.プロによる救助救出、2.電気、ガス、水道などのライフラインの確保、3.ボランティアの活動です。被災地で受け入れ体制ができてはじめてボランティアの活動が有効に働きます。震災から10日以上たって、ボランティアの受け入れや、支援物資の受け入れも少しずつ始まってきているようです。 まずは、各自治体や、ボランティア団体から発信されている情報を確認してから行動しましょう。被災地から離れた地域で暮らす私たちがすぐにできることは、義援金の協力です。思いが届いて、そしてその思いをうまく使ってもらえるよう、募金先の各団体の活動をHPなどで確認することも大切です。龍谷大学では、学生さん向けに「龍谷大学ボランティア・NPO活動センター」が募金の窓口になっています。

直面している現実を受け止め、この困難を乗り越えるために、わかちあう心を、思いを届けませんか。