2012年7月29日日曜日

『コミュニケーション・ワークショップ演習』が無事に終了しました

村田 和代

先週、2年生向けの『コミュニケーション・ワークショップ演習』の15回目の授業が終わりました。毎回の授業が初めての試みばかりで、どうなることかと心配したこともあったのですが、無事に終わってほっとしています。

この授業は、グループでいろいろな意見を出しながらコンセンサス(合意)に到達するという体験を通して、地域公共人材に求められる他者と協力して課題の達成ができるコミュニケーション能力(話し合いの能力)を育成することを到達目標に置いています。15回の授業の前半(基礎編)では、話し合いの実施・観察、ふりかえりを通して話し合いのプロセスや参加者としてのふるまい方について学んだり、いろんな種類の話し合いを体験してもらったりしました。また、後半の応用編では、基礎編で習得した話し合い参加者としてのスキルやマインドを生かして、グループで「働くとは?」というタイトルでmovie作品を制作してもらいました。

21日に開催された、作品の発表会では、思わず感動で涙するような作品もたくさんありました。どれも短期間に制作した作品とは思えない素晴らしい作品でした。この授業の目的は、決してアウトプットとしての「かっこいい作品」や「手の込んだ作品」ではありません。「作品制作のプロセスで、協力・協働するためにどんな工夫をしたのか」、「前半学んだ話し合いの理念や方法をどのように生かしたのか」、といったことにあります。ですので、発表会では、作品紹介に加えて、これらの課題についても口頭で発表してもらいました。口頭発表では、「相手の話は否定から入らないで最後までよく聞くということをみんなで守るようにした」「話し合いをうまく進めるために和やかな場を構築するように工夫した」「意見を言うのが苦手な人にも配慮した」「毎回の話し合いのあとには、ふりかえりをした」「司会者を毎回交代して、みんなが話し合いを進めることができるように工夫した」等々の工夫点が披露されました。身についてほしいなぁ・・と思っていたことがらばかりで、なんだかうれしくて胸がいっぱいになりました。

発表会です


先週の金曜日に行われた15回目の授業では、発表会と授業全体のふりかえりをしました。私が担当した12組では、全員にコミュニケーション・ワークショップで学んだことや感じたことをひとことずつ書いてもらったあと、授業の感想を一人ずつ発表してもらいました。ふりかえりでも、「チームのメンバーへの思いやりを学んだ」「人の話を聞く、というとても基本的なことができていないことがわかった」「インタビューをするときにも聞こうというこちらの姿勢が大切だとわかった」等々いろんな意見が出てきました。15回を通して、もっとも目に見えて変わったことは、あいさつでした。 最初は黙って入ってくる学生が多かったのが、気がつくと「こんにちは」「お疲れさまでした」とはきはきとお互い挨拶をかわすようになっていました。



12組の仲間たちです。授業の感想をひとこと。




教育補助員の先輩達からもひとこと


私自身、ずっとポライトネス(言語の対人関係機能面)について研究しています。その中でいつも感じてきたのは、うわべだけのことばのスキルが重要ではなく、大切なのはその背後にある他人を思いやる気持ち(マインド)ではないかということです。実際の職場談話を見せていただいていると、心がほんわかするような場面に出会うことがよくあります。そういった他人を思いやるふるまいが、組織を成長させ、仕事を円滑に進める原動力の一つとなっているのではないかと思うのです。 短期的にみれば、むしろ、論理的に相手を打ち負かす(論破する)能力の方が必要かもしれません。しかし、長期的視点からまちづくりを考えた場合、「そのまちが好き」「そこに住んでいる人たちが好き」といった「つながり」が重要になってくるのではないでしょうか。そしてそんなポジティブな気持ちこそが、ソーシャルキャピタルの醸成へとつながるのではないでしょうか。

さて、話をもとにもどして・・・・・  受講生のみなさん、コミュニケーション・ワークショップ演習はいかがでしたか? 授業を通して、「他者と協力して課題を達成できる能力(話し合いの能力)」を身につけることができたでしょうか?

ふりかえってみると、一番学んだのは私かもしれません。協力して課題を達成することの楽しさやわくわく感、達成したときの嬉しさや感謝の気持ちを、授業構築のための龍谷GP委員会やFD、そして教育補助員さんやクラスのみんなとの関わりを通して実感しました。15回、ほんとに楽しかったです! ともに授業を作り上げた龍谷GP委員会のメンバーの先生方、何度もFDを開催して意見交換したコミュニケーション・ワークショップ演習担当者の先生方、授業運営や発表会開催をサポートいただいたチーム政策スタッフメンバー、ファシリテーターとしてクラスを支えてくれた教育補助員のみなさん、そしてもちろん、受講生のみなさん、ありがとう!! 感謝の気持ちでいっぱいです。

「あなたにとって働くとは?」 私にとって働くとは、「お世話になった(なっている)方々へのご恩返し」と「学び続けること」です。