2013年12月7日土曜日

国際環境協力-温暖化防止と健康

北川 秀樹

私は2002年にNPO法人環境保全ネットワーク京都を立ち上げました。昨年の10周年を記念してこのほど記念誌『国境を越えた環境保全活動-10周年の足跡をたどる-』を刊行しました。ご関心のある方はご連絡ください。以下ではその内容を簡単にご紹介します。
 2004年に初めて京都とゆかりのある中国陝西省西安市の南部・長安区でポプラを植えたことに始まり、その後7年間、西安市の北方に位置する富平県と三原県の黄土丘陵約500haにコノテガシワ、カキ、クルミなどの植樹協力をおこなってきました。
 2011年11月からは、三原県に隣接した淳化県において協力をおこなっています。今回の協力のカウンターパートは、農民が出資して作った林業合作社です。それまではいずれも県政府の林業局をカウンターパートとしてきましたが、陝西省の国際協力事業としては初めての試みである民間事業主体を相手方としています。ここで私たちは文冠果という木を植えています。文冠果は陝西省などの半乾燥地域の固有種です。ムクロジ科の木でたいへん乾燥に強く、根は長く伸び、その皮には水を蓄える機能があり、年間降水量が300~600mm程度のところでも育つため、中国では乾燥地の緑化樹として使われています。文冠果の実は「はねつき」に使われるムクロジと同じ形の実で、それより一回り大きい実をつけます。この文冠果の実や葉には有用な油分が含まれており、実からは油を抽出し、葉はお茶に加工されています。文冠果の葉を発酵させたお茶は、「長寿茶」として秦の時代から重用され、血液をサラサラにするなど薬用効果が高いとして高値(黒茶400g,希望小売価格約46,000円)で販売されています。発酵させた黒茶と、発酵させずにそのまま乾燥させた青茶があり、どちらも高血圧に効果があるとのことです。
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 現地では、文冠果の植樹は10万ムー(約6700ha)の面積で企画されています。文冠果は乾燥した気候の下で水分を吸収する必要があるため、地上の成長に比して根が非常に長くかなりの炭素固定量が期待できます。
 我々の活動が地球温暖化防止にも貢献していることを実感しており、機会があれば1本の文冠果の木がどれほど炭素を固定しているか計測してみたいと思っています。植樹協力を通じ水土流失や地球温暖化の防止に貢献しながら、地元の住民の生活支援にもつながるということで環境と経済の両立が図られるとともに、健康面でも大きな効果を上げています。